れいちぇる、まほう堂を閉じました

妊娠六ヶ月の頃、お腹が目立ち始めて、
「予定日はいつなの？」
と聞かれる事が急に増えた。



「そうなの〜、じゃあ四月にはお母さんになるんだね〜。」



その言葉に、とても違和感を感じた。



四月にお母さんになる。



いや、
私はもう

お母さんになり始めてる。


そう。

妊娠した女性は、妊娠した事がわかった瞬間から、
お母さんになる。


ヒールの高い靴を止め、
お酒やタバコを止め、
体を冷やす事に敏感になり、
食事や寝る時間に気をつけ、
無理をしないよう頭を使い、
これから訪れる育児にむけて学び、準備を始める。

お腹の中の我が子の成長とともに、
お母さんになっていく。


私は、妊娠するまで、
この事に気付かなかった。





私には、二人の弟がいる。
三人兄弟の長女。


どの家もそうなのかはわからないけれど、(私だけかもしれません)
一番上っていうのは、
最初に「その時」が来るので、
とにかく怒られる。

携帯を欲しがるのも、最初。
髪を染めるのも、最初。
夜遊びも、最初。


下の子は、お姉ちゃんが携帯を買った歳になったら、たいした交渉も無く、買ってもらえる。



私はずっと、
一番上だって事が嫌で嫌で仕方なかった。

お兄ちゃんの後ろに隠れてみたい。とか思っていた。


妊娠がわかって、
お母さんになっていく自分に気づいた時、

長女として、父と母の間に生まれた事が、
初めて、
とてもとても愛しく思えた。



私ができた事で、きっと、
私の母は、お母さんになっていき、
私の父は、お父さんになるという事を模索しワクワクした。


私が生まれた時、
私の母は、初めておっぱいをあげて、
私の父は、初めて父としての重みを抱きしめた。


嬉しい事、
辛い事、
楽しい事、


私と父と母との間には、
「初めて」がいっぱいだったんだ。



その事に気づけて、
本当によかった。









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